第18話 ファイアドラゴン

 俺はポロックの家を訪問した。


「ポロックさん。できました。俺のオリジナルの魔道具です。風弾筒と言います。弓矢とは違いますが、弓矢と似たような使い勝手で、ドラゴンを撃つことができると思います」


 ポロックは喜んでくれた。そして、風弾筒の試射をして、驚いた。


「これは・・・すごいもんじゃのお。正確に当てるには、少し練習が必要そうじゃが、使い方を覚えれば、弓矢より精度よく、獲物を射ることができそうじゃわい」


「しばらく、狩りに使ってみてください。風弾はたくさん用意しておいたので、これを使ってください」


 俺は製作した風弾を数千発、ポロックに渡した。


 3ヶ月ほどが経って、ポロックから連絡があった。


「風弾筒の使い方にも慣れた。ここ最近は、狩りでも百発百中じゃ。これならドラゴンとも戦えるぞ」


「では、ファイアドラゴンを討伐に向かいましょう」


 俺とポロックは、ファイアドラゴンが潜んでいる山を二人で探索した。俺はポロックを信用していたが、いざとなれば、転移爆炎弾でファイアドラゴンを仕留めるつもりだった。


「いたぞ! ファイアドラゴンじゃ!」


 俺たちは、食事中のファイアドラゴンを遠くから見つけた。鹿を食っていて、こちらには気づいていない。


「もう少し距離を詰めて、脳天必中を狙う」


「わかりました」


 俺たちは、ドラゴンまで80歩程度のところまで距離を詰めた。


「妻の敵め。アンディくんが作った風弾筒の威力、思い知るがいい」


 ポロックが、ファイアドラゴンの眉間に狙いを定め、魔石トリガーを起動した。風弾筒の内部の空気が瞬間的に風魔法で圧縮され、瞬時に開放される。


 風弾が目にも留まらぬ速さで飛び、ファイアドラゴンの眉間を貫いた。


 ドラゴンは即死だった。


「やった! やったよ、アンディくん!」


「はい、ポロックさん、お見事です」


 俺とポロックは、地面に倒れたファイアドラゴンの死体を見下ろした。


 ポロックは、落ちていた棒で、ドラゴンの頭を何度も何度も殴りつけていた。ポロックはドラゴンを殴りながら泣いていた。積年の思いを吐き出しているのだろう。


 俺は、ポロックの敵討ちが成功したことに、深い満足を覚えていた。


 その後も、ポロックとの親交は続き、風弾の定期購入などで商売のつながりもできた。


 ポロックは、通常の狩りだけではなく、ときにはモンスターの狩りも引き受けるようになったそうだ。

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