第4話 狩り

 転移爆炎弾を用意した俺は、モンスターを狩ることができるか、試してみたくなった。


 冒険者ギルドに行って、手頃な獲物を見繕う。この季節は、アタックボアという大型の凶暴なイノシシが森に出るようだ。モンスターとしては、それほど手強い相手ではない。初心者の冒険者でも相手ができる程度だ。


 転移爆炎弾を持って、森へ狩りにでかけた。


 アタックボアとはすぐに遭遇した。こちらを見つけると、すぐに体当りしようとしてくる。


 俺は事前に右手に握り込んでおいた爆炎弾を、転移弾の指輪で、こちらに走ってくるアタックボアに転移させた。


 その直後、ボンと音がして、アタックボアの腹が内部から破裂する。転移爆炎弾が炸裂したのだ。


 しかし、これはオーバーキルだった。体を内部から吹き飛ばしては、肉などの素材がぐちゃぐちゃになってしまう。


 2体目は、もっと綺麗に倒すことにした。俺は、「遠見の魔道具」と呼ばれる視力を強化して、遠くまで見えるようにする魔道具を取り出した。


 遠見の魔道具で見ると、かなり遠くに別のアタックボアがいるのが発見できた。


 俺は、爆炎弾ではなく、足元に落ちていた石を拾い上げる。大きさは拳程度だ。


 そして、アタックボアの頭にじっくり狙いをつけて、転移弾の指輪を起動させた。


 ドサリ・・・アタックボアがしずかに倒れた。


 何が起きたのかというと、俺の手から転移した石が、イノシシの脳内に転移したのだ。転移した石が脳を破壊して、イノシシは即死したのだ。距離が離れているので、座標を確定するのに少し時間がかかったが、結果は上々だ。


 遠見の魔道具と組み合わせれば、爆炎弾を使わなくても、転移弾の指輪と適当な石だけで、ほとんどの敵を遠距離から暗殺できることになる。


 俺は綺麗に倒したアタックボアのところに行き、獲物を持ち帰ろうとしたが、やはり一人で運ぶのは無理だった。本来は2人ぐらいで仕留めて、2人がかりで運ぶような獲物なのだ。


 冒険者ギルドに帰り、暇そうにしている冒険者たちに金を払って、アタックボアの回収を頼んだ。プラスマイナスで、まあまあの収入になった。魔道具工房の一日の収益より少し多いぐらいだ。


 なかなか良い稼ぎになるので、その後も、気分次第で工房を休んで狩りをした。


 慣れてくると、1日に数体のアタックボアを狩れるようになり、収入は跳ね上がった。完全に魔道具屋の収益を上回ってしまった。これは、冒険者で一山当てようという人間が多くいるのもわかるというものだ。

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