第7話 ワイバーン

 俺は錬金術師の店で、生産自動化ゴーレムを購入した。


 これまで手作業で製作していた、小売店からの注文品を、ほぼすべて自動生産に移行した。


 ゴーレムに術式図面を記憶させ、素の魔石を並べておけば、自動で魔石への術式刻印をやってくれるのである。しかも疲れ知らずに夜通しでも動き続ける。杖への取り付け加工などは、もともと、女工さんに外注していたので、そちらにも俺が手を取られることはない。


 これで俺には、大きな時間の余裕ができた。


 そこで、俺は、また別の大物モンスターの狩りに出かけることにした。狩りの収益のほうが、魔道具屋の収益より大きいのだ。


 冒険者ギルドで案件を物色すると、最近、東の街をワイバーンが襲撃するようになり、住民が困っているらしい。家畜をさらわれてしまうのである。


 ワイバーンの討伐報酬は2000万ゴールド。おまけでワイバーンの革の素材報酬も100万ほどある。俺は、ワイバーンを狙うことにした。


 東の街に出向いて聞き込みをすると、ワイバーンは山の中にある巣から飛んできて、街を襲っているらしい。俺は巣を攻めることにした。


 俺は山の中で、ワイバーンが巣にしていそうな洞窟を調査することにした。ワイバーンは身の丈20歩分の大きさの翼竜だが、普段は洞窟で休んでいることが多いのだ。そして、それらしい洞窟を見つけた。


「うーん、洞窟の中で鉢合わせすると危ないかもしれない。おびき出そう」


 洞窟の入り口から、内部に向かって、転移爆炎弾をテレポートさせる。洞窟の内部からドカンと音が響き、続いて、ギャオーというワイバーンの咆哮が聞こえてきた。


「当たりだな!」


 洞窟からワイバーンが出てきた。特にダメージを受けている跡はない。俺が使った爆炎弾の爆発は小規模なものなので、体内で爆発させないと大きなダメージは与えられないのだ。


 ワイバーンが空へと舞い上がった。ワイバーンはこうして、剣や弓矢の届かない上空へと逃れ、すきを見て急降下して攻撃してくるのが習性だ。


 だが、視界が届くところすべてが射程範囲となる、究極の長距離武器である転移爆炎弾を持っている俺に対して、上空へ逃れたのは悪手だった。


 俺は、転移爆炎弾を上空を舞うワイバーンの腹を狙ってテレポートさせた。ドゴンと破裂音がし、空中のワイバーンの腹が破れて血が飛び散る。


 ワイバーンが錐揉みしながら墜落した。


 俺は、動けなくなったワイバーンの頭を狙って、再度、転移爆炎弾をテレポートさせた。ワイバーンの頭が内部から爆発し、それきり動かなくなった。


 危なげない勝利だった。俺は冒険者ギルドに討伐の報告をして、ワイバーンの遺体を回収してもらった。討伐報酬と素材報酬をギルドから受け取る。


 魔道具屋の半年分の売上を1日で稼いでしまった。

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