この大地をずっと歩いて

不登校になった少年が、ブラジルの少年と交流するヒューマンドラマ。

 周囲にうまくなじめない主人公の孤独感、疎外感、息苦しさなどの胸に迫る描写が大変素晴らしい作品です。

 いきなりブラジルの子とメールで交流って大丈夫? と思ったら、機械翻訳されたメールの文章がすごく「らしい」のにも驚きました。

 機械翻訳っぽい文章を作るのは慣れればそれなりにできるものかな? とも思うのですが、「日本語で思考や会話をしていない人間が、一生懸命相手を思いやってかける言葉を翻訳したもの」という質感と言いましょうか。機械翻訳っぽさと、それを発したキャラクターの温かみを感じるような文面ですね。

 機械翻訳独特のセンテンスが生み出す、詩的な文章もまた美しく、これは何をどうやって作ったのだ?? と思わず頭も首もひねってしまいます。

 最初は意味がつかみづらかったプロローグも、読み進めるとなるほどと思え、大変すばらしかったです。主人公の彼が、もっと楽に生きられますように。