書いても良いのか迷い、それでも『彼女』のことを知って欲しいんです。

ファッションホテル『ピシナム』。それが、主人公の職場だった。
今では閉店し、見る影もない。
しかしある日、主人公を取材したいという女性が現れた。

彼女との会話をきっかけに、彼の心はあの頃へと戻っていく。

『R』と勝手に呼んでいた、名も知らない少女との声を使わない交流の日々に。

何処か寂しげな一人ぼっちの少女と、ホテルの受付である主人公。
二人を繋ぐものは、客とホテルマンという間柄だけ。

描かれるのは、自分に自信が無く浮遊する青年と、心をある場所に残してきた少女の交流。その切なさに、胸が締め付けられる思いです。

本当に理解することは不可能で、それでも知りもしないではいられない。
『海のシンバル』。そのタイトルの理由がわかる時、あなたは何を思うのでしょうか。

その他のおすすめレビュー

長月そら葉さんの他のおすすめレビュー415