優しく、まったり読めて、深い。

 実はここだけの話、ずっとこの作者様である藤光さんを女流作家さんだと思ってたんです、わたし。

 後で知った時は衝撃でしたよ、はい。でもなんでそう思っていたかと申しますと、作者の藤光さんの柔らかいその文体の影響なんです。

 文体も癖がなくて読みやすく、飄々としていて、癖になります。するする読んでいっているのに、いつの間にか、そのエッセイで書かれたことを黙考してしまいます。そのぐらい、時に核心を突くメッセージがこのエッセイにはあるのです。

>読んでくれた人へのおくりものとなるようなエピソードが書けたらいいな。ちょっとしょっぱいエピソードもきれいにラッピングして差し出せば、読む人に珍味として喜んでもらえるかもしれない。
(『第1話 おくりものとなるように』より)
 この心意気がいい。押しつけがましくなく、日々の営みの中で藤光さんのエッセイを読む、これがわたしにとってほっとできる時間なんです。

 おずおずと藤光さんが「これ、よければもらってください」と差し出すこの作品を、一緒に受け取って味わいませんか?