作者の人柄が伝わる優しい文章と。登場人物たちに向ける眼差し。優しくてもあまあまではない。だから読み手はこの関係や世界が壊れてしまうのではないか・・そんな感情の起伏を我事のように思えるのです。神様も察して目をそらす。わけありの街の路地。それでも扉一枚隔てた場所には温かい場所がありました。時間は流れて大切な人がいなくなっても。初めて覚えて言えた時のように。名前を呼ぶ人がそこにいてくれる。素敵な時間が流れる。素敵な作品でした。作者様に感謝です。
耳の聞こえない少年と彼を助けた高校生のお話です。二人を取り巻く人々も暖かく、高校生を慕う少年のかわいらしさにも心がほっこりします。二人が成長しお互いの気持ちが通じ合うまでの過程を、ちょっとハラハラしながらも見守ってあげたくなります。少年の耳が聞こえないという設定とその場所の雰囲気で、とても綺麗なラストでした。
歓楽街に佇む薬局。その一人息子である陽介は高校生の時、路地裏に一人残された耳の聞こえない少年なおに出会う。家族でナオを受け入れ共に育つうちに、陽介とナオの間に芽生えていく感情がとても丁寧に描かれていて、心が温かくなる作品です
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