平坦な戦場で僕らが生き延びること

作者さまがまだお若いのかな?鬱屈とした少年少女の一夏の物語。

端的に申し上げて最高でした。

異能が何なのか。
キーワードとしての異能を軸に、物語が展開していきます。

登場人物は皆、年齢相応に身勝手なんですけれども。
それがすごく良かったです。

圧倒的な閉塞感の中、主人公の優菜は旅に出ます。
けれども、SNSやメッセンジャーの存在が彼女を解放してくれない。また、優菜も出たいような出たくないような。心の揺れ動きがあるのです。

否応なしに大人になる非常に繊細な年頃。

そんな少年少女特有の変化を拒む気持ちが随所にちりばめられていました。一見、変化を受け入れているように見える土屋もどうなのかな……と考えてしまいました。

揺らいでるからこそ、大きく振り切って大丈夫なフリをする。

一言紹介には、ウィリアム・ギブスンの有名な詩を引用させていただきました。

願わくば、少年少女たちが「そんな事もあったね」と笑える大人になれるよう。そんな風に思いました。


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