穏やかに、優しく繰り出される毒舌

鶴丸衣料品店の新人店員猫野さんの奮闘記。

希望の婦人服売り場ではなくレジ係にされてしまった彼女が、くせのある客や同僚・上司とのコミカルなやりとりを綴る。

その語り口はあくまで穏やか、辛口ではあるがしごくまっとうな猫野さんの抱く不平や不満、困惑は一つ一つもっともなもので、読者も共感しやすい。そして、彼女の穏やかで丁寧な語り口は、読み手を不快にさせることがない。

こんな日でも、いやこんな日だからこそ、読みたくなる優しい物語である。