第4話 自宅で高笑い

「ガハハ、それで映画研究部の制作台無しにした責任とって勘違い正義マンとして最後まで出演する事になったと。ガーッハハハ毎度毎度災難だな翔太しょうた


「オーッホッホッホ、真司しんじさんそこは女性を守ろうとした事を素直に褒めるべきではなくて?」


「その通りだな恵美えみ、良くやったぞ翔太これに懲りずに困っている人がいたら助けてあげなさい。ただし危険な場合は他にも誰か人を呼ぶ事、でないとミイラ取りがミイラになるかもしれないからな!ガーッハハハ」


 この年甲斐もなく高笑いの応酬を繰り広げているのは高原君の両親である高原真司たかはらしんじ45歳と高原恵美たかはらえみ42歳の2人である。


 息子がこの体質で悩む事が無い様に合わせて高笑いをすることを心がけて来た結果完全に癖になり、今では息子より高笑いが出ている2人は周囲からは「良い人だけどあの笑い方はねぇ…」という評価である。


 だが2人は息子の為に始めた事で後悔など全く無く、むしろ精神的に高笑いが良いのか以前より体の調子も良く真司は更に仕事の業績も上がったので止めるつもりなど一切無かった。


「ガーッハハハ、今日は晩飯奮発するか! 恵美寿司の出前を頼む、俺はケーキ屋でケーキ買ってくるから」


「オーッホッホッホ、ケーキなら駅前の店が評判良いそうですからそちらにお願いしてはいかがかしら?」


「そうか!では一走り行ってくるとしよう、いつもと同じで恵美はモンブランで翔太はショートケーキで良いな?」


 そう言いながら真司は玄関から出て行った、その姿を見送りながら近所で有名な寿司屋に出前を頼む恵美


「オーッホッホッホ、こちらも奮発して特上頼むとしましょう。幸いヘソクリも有りますしこんな時こそ使いましょう、もしもし…」


 流れる様に自分を労うべく事が進んでいる事に毎度の事ながら呆れる高原君


 両親が自分に合わせて高笑いしている事を察しつつもこれが無ければ自分は歪んでいたであろうと思っている高原君はその事を口にせずに心の中で泣きながら笑顔を浮かべるのであった。






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今日も高原君の高笑いが響き渡ります 喜雨夢 @nashia

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