B級ホラーに出て来る悪の研究所でありがちな事

@HasumiChouji

B級ホラーに出て来る悪の研究所でありがちな事

 現地の部下達から作戦完了の報告が入った。

 我が軍の生物兵器研究所……もちろん存在そのものが極秘だ……で研究していたゾンビが凶暴化し、多数の研究員を殺害し……そして、研究所の施設を破壊し……しかし、私が育て上げた特殊部隊が、あっと云う間に鎮圧した。

 B級映画に出て来るゾンビのように、噛まれた相手もゾンビになるらしいが……こちらには飛び道具も防具も有る。

 非武装の研究員を大量虐殺する事は出来ても、訓練を積んで武装した優秀な特殊部隊の兵士達の敵では無い。

「ところで、将軍、御約束通り……」

「大佐、君の部下達を口封じの為に殺したり監禁するような事は無い。ただ……」

「ただ? 何でしょう?」

「場所が場所だけに……そして、作戦内容が作戦内容だけに、十分な消毒が必要だな」

「待って下さい。消毒とは何ですか? 聞いていませんが……」

「現地部隊との無線リンクを切れ。そして、規定の手順に従い『消毒』を実施する」

 将軍は、私の質問には答えず、どこかに指示を出した。

「あ……あの……将軍……消毒とは一体?」

 そして、次の瞬間、銃声。

「えっ……?」

「だから、消毒だよ。消毒薬の名は『核ミサイル』だ。君の部下達は、消毒の準備が整うまでの時間稼ぎをしてくれた。だが……あの研究所では、ゾンビ以外にも、様々な研究をやっていたんだ。今や君の部下達は、どんな危険な細菌やウイルスに感染しているか知れたものじゃない」

 私の胸には拳銃弾による穴が空いていた……。

「ああ、そうだ。口封じをしない約束だったのは……君の部下達だけだったよな?」

 それが、私が人生の最後に聞いた言葉だった。

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