「現代思想2021年5月臨時増刊号 総特集:陰陽道・修験道を考える」
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3552 まだ、読んでる最中ですが、結構、参考になりそうなネタが有ります。
・平安時代における陰陽師と密教僧・修験者の役割分担
平安時代においては、病気・災害・超自然の存在が引き起したように見える「何か」でも、「神が引き起したもの」と「もののけ・普通の人間の生霊・死霊・人間が行なった呪いによるもの」は対処方法が違っていて、「神」に対して「神以外」用の調伏の呪法を使うのはタブー。
なので、結果的に密教僧・修験者などの陰陽師以外に対処してもらう事になる場合でも、まずは、陰陽師に原因を占ってもらうのが一般的。
・消えた「陰陽師の名門」
安倍晴明の時代あたりまでは、「陰陽師の名門」は賀茂氏と大春日氏だったが、大春日氏はいつしか衰退し、「陰陽道の名門」は賀茂氏と安倍氏に。
→賀茂氏・安倍氏との競争に負けて歴史の闇に消えた一族……っては使える設定かも。
・陰陽法師
平安時代に朝廷に仕えていない陰陽師も居たけど、当時は、そのような「俗流の陰陽師」は仏教の僧侶が兼任している場合が多く、そうでない場合でも「貴族出身でない知識人」は出家してなくても頭を丸めるなど、僧侶に見える格好をしていた。
そのせいで、平安時代に朝廷に仕えていない俗流の陰陽師は「陰陽法師」と呼ばれ、概ね「仏教の僧侶に見える」格好をしていた。
そして、貴族でも、このような「陰陽法師」に御祓いなどを依頼する事が有った。
・陰陽師の唱える呪文は?
神道の儀礼と陰陽道の儀礼は、実は結構相互影響が有り、陰陽師が神道の祝詞(中臣祓/大祓)を唱える事も有った。
なので、フィクションでの「陰陽師が唱える呪文」として神道の祝詞をアレンジしたものを使っても、あながち間違いでは無い……かも。
・江戸時代の陰陽師
江戸時代においては、陰陽師と名乗っていいのは安倍晴明の子孫である土御門家から免許をもらった人達だけ。
その頃の「陰陽師」の在り方は、かなり多様で、例えば、庄屋さんが「村の陰陽師」をやっていた場合も有った。
なお、イタコ・口寄せ(要は死者の霊を呼び出す)をやったのが土御門家にバレたら「陰陽師」の免許を取り上げられる。
一方、一部で有名な四国の「いざなぎ流」は、陰陽道由来の用語が有るのに、20世紀末以降の陰陽師ブームの頃まで、関係者は「陰陽師」「陰陽道」の存在そのものを知らなかった模様。
- 上の方・中央は理論的・教条主義的だけど、下っ端・末端は緩い。
- でも絶対にやってはいけないタブーも有る。
- 村長さんが「村の魔法使い」を兼ねてる場合も有る。
- 田舎・地方には中央の「魔術師協会/ギルド」の存在を知らない俗流の魔法使いも居る。
みたいなのは、一般的なファンタジーものの「魔術師協会/ギルド」の設定として使えるかも。