おにんぎょう【朗読用フリー台本】

江山菰

おにんぎょう

 おまわりさん。

 わたしはばかだから、ばかでぶさいくだから、わたしはつかまったのですか。

 

 おはなしをするだけでいいのですか。

 わたしはばかだからおはなしはあまりできないけど、おこらないですか。

 

 わたしはくらいおへやにいて、やさしいおかあさんといました。

 でも、おかあさんがわたしにひもをひっばれといいました。

 ひもはおにんぎょうのひもです。

 おにんぎょうにはおかいものぶくろがかけてあって、わたしがひっぱると、おにんぎょうはぶらんぶらんしました。

 おかあさんはおにんぎょうのあたまをなんどもぼうでぶちました。

 わたしにもおにんぎょうをぶちなさいとおかあさんがいうのでわたしもぼうでたたきました。おかいものぶくろがべちゃんこになって、あかくなりました。

 おかあさんがそれをみてわらって、おかあさんはわたしにもわらえというので、わたしもいっしょにわらうと、おまえのわらったかおはむかつくといっておかあさんはわたしをぶちました。

 わたしがぶたれてころぶと、おにんぎょうのしたのゆかがとてもよごれていたので、わたしもよごれてくさくなりました。

 おかあさんはきたないこはいらないといってどこかへいきました。

 

 おまわりさん。

 ごはんをくれてうれしいです。

 

 でもおかあさんはどこですか。

 わたしのやさしいおかあさんはどこですか。

 あいたいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おにんぎょう【朗読用フリー台本】 江山菰 @ladyfrankincense

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ