おわりに
いかがだったでしょうか。
残酷描写、暴力描写、性描写それぞれ「有り」で書かせていただきましたが、ご覧になって、各描写について、「ああ……」とか「ええ……」と思われたかもしれません。そこは筆者の力不足ということでご容赦下さい。
さて、拙作においては、毛利元就の初陣・有田中井手の戦いから、尼子家の支配下に身を置き、やがてその尼子家と手切れして、吉田郡山城の戦いに至るまでを、描いています。
初陣の時、「多治比」元就という分家であるという位置付けでしたが、鏡城(「鏡山城」の名称の方がポピュラーです)の戦いを経て、兄・興元の遺児である幸松丸が夭折してしまったことにより、元就は毛利家を継いで、「毛利」元就となりました。この家督相続に対する反発が起きて、庶子の弟・
……ただ、相合元綱は、尼子経久の謀略により憤死したという一説があるんです。
こういう「一説」を見ちゃうと、筆者は弱いですね。それを考えちゃいます。つまり、そう考えられるだけの傍証があり、可能性があった――となると、では、どういうことかと、つい妄想に耽ってしまいます。それが、拙作を書くきっかけでした。
「鏡」山城(調べるたら「鏡」城という別称を見つけました)、「相」合元綱……こりゃあ、こういう漢字から連想されるネタで謀略を考えてみようとしてしまったわけです――そこから「相剋」という題名を思いつきました。題名だけ。
叔父と甥って、鏡山城の蔵田直信と房信、多治比元就と毛利幸松丸、そして尼子経久と多治比元就(元就夫人の妙玖は、経久夫人の吉川氏の姪にあたるので)だし、これを軸に書いてみようと筆を執ったわけです。実際にはキーボードに向かったわけですが。
それで書いていくと、尼子経久と亀井秀綱がえぐいことえぐいこと……。書くまでは、この二人の陰謀を「学んだ」元就が、ダークサイドに目覚めるという感じを考えていました。この時点で、残酷描写と暴力描写は避け得ないな、と感じました。
でも書いているうちに、相合元綱が謀殺され、さりげなく尼子経久と亀井秀綱、そして尼子久幸も彼らなりの想いがあるみたいなことになり、筆者が「そういえばどうせなら性描写にも挑戦してみよう」という不埒な(?)考えに思い至り、元就は相剋に
また、尼子家は、経久の三男・
……何だかんだいって、名前だけでも、陶晴賢を出せて個人的に満足していたり、ちょい役ですけど、毛利隆元、吉川元春、小早川隆景を出せて、それも満足です。エピソードタイトル漢字二文字縛りという裏設定のため、最終話の題名が「三矢」となり、五龍姫とかがあまり出せなかったのは残念でしたが。
それでは、ここまで読んで下さり、まことにありがとうございます。
まだまだ気の置けない日々がつづきますが、どうかお健やかに。
四谷軒 拝
相剋 ~毛利元就、安芸を制すまでの軌跡~ - rising sun - 四谷軒 @gyro
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