能力

痛みが消えた。

そう思った時には、数日が経過していた。


っていうのも、単純だけど携帯の画面を見て日付を確認したからだ。


起きてからずっと視界にチラつくこの

そして、やけに体が軽く身体能力?が上がったような気がする。

今ならこの前に戦ったゴブリンにすら対等にもしくは...。

何故か陽翔さんは、身体から火を出せるようになっていた。

俺に怒った変化はこの視界に映る緑色のモノだけ。


「おい、界凛。これなんなんだろうな?どういう原理で燃えてるんだろうな?」


界凛に問いかける陽翔。

その手は赤々しい炎に包まれている。

出している本人は暑く無いらしく、ケロッと楽しそうに笑っている。


(俺は熱いんだけど、何故か陽翔さんは暑く無いんだろうな〜。実際、隣で燃えている陽翔さんの熱で起きたもんだしな。)


この謎の現象の解明の為によく眼を凝らす。

すると、陽翔の身体の周りにあの緑のモノが炎を出している腕に纏わり付いているのが視える。


つまり、この現象は緑のモヤが原因だと考えられる。


突如として視えるようになったこれは、ファンタジー漫画や小説、ゲームで言うところの魔力、魔素だろうか。

何故、このように突然身体に何かしらの変化が起きたのだろうか。

要員はあのゴブリンを殺したことだろう。


(あのゴブリンを殺したことでゲームでいうところのレベルが上がったということか。この魔力に反応した身体が適応するために倒れたということかな。)


「多分というか、この空中に緑のモヤみたいなのがあるんですよね。それが燃えてる陽翔さんのその手に緑のモヤが集まってるんですよね。」


「つまり、その緑のモヤのおかげで燃えてるんだな?でもな、俺見えないわそれ。」


陽翔はこの魔素が見えないという現状に驚く界凛。


(ってことは、これが俺の適応した時に生まれた能力ってことか?なんて言うか、地味だな。)


考え事をしているうちにぐぅ〜と可愛らしい音が、腹の虫が鳴る。


「あはは、そう言えばご飯結局食べてなかったですね。何食べますか?」


「そうだな、ラーメンの気分だな!」


他愛無い会話をして、食事をする。

二人で向かい合いインスタント麺を啜る。

人と食事をすることがこの状況下だと心が安らぐようだ。

何気ないこの感じに、少し懐かしさを感じたのだった。


「ふぅ、食った食った。さて、これからどうするよ?」


ふと、思考したことを口にそのまま出す。


「今得たこの能力を試してみるのはアリじゃないですか?」



ってなわけでやってきました。

ゴブリン達とエンカウントしたこの場所。


スーパーマーケット。


棚は相変わらずぐっちゃぐちゃになっている。


今も尚、生々しく戦った後は残っていた。


ゴブリンを倒したところには赤黒い跡、微かな肉片があるだけで他には何もない。


赤黒い跡のところで、なんとなく手を合わせる。


「とりあえず、ここに来たはいいが.....。ちょうどよくやっこさんは現れてくれるもんかね。」


「まぁ、この辺りを少し探索しますか。おそらくこのあたりのどこかを巡回してると思いますし。縄張りみたいなものが有ると思うので。」


「そうだな。最初に出会った時も三匹一組、ここで会った時もそうだった。そう考えると遭遇すると三匹相手にするわけだな。この能力ちからを試してみたいぜ。」


幼児のようなはしゃぎ具合に童心がくすぐられたのだろうか。

おもちゃを買ってもらった時の子供のようである。


(陽翔さんも男の子みたいだな。はしゃいでるのなんか可愛いな。俺もこの能力の使い方をしっかり理解しないといけないな。)


食料品売り場を抜けて今は活気なんてない殺風景なレジの横を通り少し広い廊下のような場所に出る。


レジ近くの棚のところから左右を確認してゆっくりと廊下に出る。


「ここら辺には居なくなったのか?」


なんて愚痴る陽翔。


キャァァァァ


近くか悲鳴が聞こえる。

方向は通路の右側、トイレなどがある方向だ。


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シンテキノ彼方 @TRGlow

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