安否
陽翔の後ろをついて行く。
まだ電力は通っているのか明るい通路の中を通っていく。
(電気がまだ通っているってことはライフラインはまだ生きているのか?そもそも、ここ以外だとどこがこんな目に遭ってるんだ?)
通路を抜けて右手の方に曲がり突き当たりの部屋に入る。
「とりあえず、ここは今のところ問題はないはずだ。」
「わかりました。」
汗はまだ止まらず、流れている。
シャツがベタつき不快感を覚える。
(気持ち悪いな...。シャツがベタベタする。シャワー浴びたい...。こんなとこにあるわけはないか。)
思考が段々と回り始めてくると家族のことが頭に浮かんだ。
一回も連絡を取ってはいない、いや取れてはいないの間違いだろう。
(母さんや父さん、それに
家族のことはこの状況下で心配だが不思議と界凛の心は落ち着いていた。
そこで、陽翔に尋ねる。
「陽翔さん。陽翔さんは家族に連絡って取りましたか?」
「ん?あー、俺んところはなんとか無事だったらしい。幸い警察署が近いからかそこに避難させてもらえたらしい。」
「そうですか...。それは良かったですね。俺も後で連絡を取ってみます。」
「そうするといい。界凛も心配だろう。」
タイミング良く界凛の携帯に電話がかかる。
携帯の画面を見て表示される、母の文字にすぐさま電話に出る。
「もしも「あんたどこにいるの!?無事なの??」
「とりあえずはこっちは無事。今は池袋の西武の中?にいるから大丈夫。そっちは逆に大丈夫?」
「こっちは自衛隊や警察に消防隊の方達が動いていてくれて全員無事よ。とりあえず、一日一回は連絡を取りなさい。みんな無事だからあんたは生き残ることを考えなさい!!いいね!」
「わかった。一日一回連絡を取ること。ちょっと充電がないから切るね!連絡はするから、じゃあね。」
そのままプツって電話を切る。
「よかったじゃねぇか!!無事ってことがお互いわかってよ。」
「そうですね。そこは不安だったので、そこが晴れたのは大きいですね。これからどうするかが問題ですね。」
無事を知れただけで界凛の心は少し軽くなった。
それと同時にここからどうするかという問題が出てきた。
「まずは、ここから出れるかどうか。俺は正直言ってここから出れる気はしない。でもこのままでは行けないとは思う。そこのところはどうだ?」
この現状をどうにかする、漠然とした問題だ。
外にはおそらくファンタジー物の小説やゲームに出てくる、緑色の肌をした人型の化け物、ゴブリン。
他には狼擬きに加えて、その親玉であろう大狼の番い。
一番相対するのが不味いとわかるのはこの大狼であろう。
「出れる気がしないことには同感です。なのでーーー。
先ずすべき事は。
☆
食料の確保である。
幸いここの専用通路から近くスーパー、食料品売り場の近く安全に向かうことが出来た。
2人はものがいられそうなものを持っていた。
陽翔はトートバッグ、界凛はスクールバッグを持ってきていた。
それぞれの持ってきたバッグの容量は中々のもので、2人合わせて二、三日は大丈夫な量は入りそうだ。
そして、護身用に陽翔は道中で手に入れた牛刀。
界凛は刃渡りが三十センチほどの包丁が一本。
ないよりマシな装備をした二人、慎重に越したことはない。
「案内図によると、ここを出てから右に向かえば食品売り場だ。一応ここからはヤツらがいるかもしれない。最大で三メートルぐらいの距離で付かず離れずを保って行動する。極力、音は出さないで身振り手振りでコミュニケーションを取っていこう。」
「了解です。」
最初に向かうはーーー長期保存が可能なレトルト、缶詰コーナーである。
出来るだけ音を立てずに素早く集めていく。
同じ材料の缶詰でも大量に種類があるものである。
カレー味、アヒージョ味、トマト味等。
(うげっ...。ツナじゃん、あんま好きじゃないんだけどなぁ。まぁ、食えるから持ってくか。)
嫌いなものでも食えればなんでも良いだろう。
選り好みなんてしていられない。
それでも嫌なものは嫌である。
レトルトにも種類は沢山有るがいられるものには数があるので好きなものを沢山詰め込んでいく。
カレー、シチュー、パスタソース、ハンバーグなどなど。
最後にこれがないと困る、命の源。
人体の七割を占める液体。
つまりは水分、水。
二リットルの水ペットをそれぞれ二本を持って、いざ拠点に戻ろうかと言うところにーーー。
「「「グキャッ!ギャギャ!!」」」
ぞろぞろと現れる、緑色の肌の化け物。
ボロボロの服を見にまとい手には棍棒、刃こぼれの激しい金属の塊。
陽翔が見たと言っていた、ゴブリンが三体目の前に現れた。
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