冒頭の夢が物語全体を暗示している、見事な構成です。

道子の築いてきた人生を、モスキートのように吸いつくした女、萌。縁を切りたくとも、産科医と患者の関係では離れることもできない。
そこに現れる、萌の過去を知る女性。彼女の登場で、不安定ながらもつり合っていた人間関係が破綻したとき、道子はある決意をする。

物語全体を通してどことなく漂う不安感が、ストーリーと上手く絡まって、何気ないシーンでも何か起こりそうな緊張感のある物語でした。
毎回公開されるたびに追いかけ、つぎはどうなるんだろう? という具合に期待を持たされます。
今は全編公開済みなので、物語に引き込まれて、気がついたらラストまで一気に読んでしまえるでしょう。
道子が徐々に追い込まれ、最後に取ってしまう行動は、ある意味そうせざるを得ないものだったと思います。

ここでは回収し切れていない謎がいくつかありますが、作者様は続きを長編という形で発表されるとのこと。
今から楽しみです。

超常現象に悩まされるような話ではなく、不安定な人間関係が語られるタイプのストーリーですので、ホラーが苦手な方でも読めます。
冒頭の夢で「怖い」と思っても、飽くまでも夢なので、その辺りは心配せずに、ぜひ続きを読んでください。

余談ですが、作者様も仰っていますように、縦書き表示で読む事をお勧めします。

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