付与師ギルドで2
「差し出がましいようですが、ランス様の発言が付与師ギルドでおかしい部分があれば教えてください」
「転写の深度を変えられるということです。転写は2層までで、高位の付与師が何度かに1度しか成功しない技術なのです。魔石の魔力層。これがあるということ自体が知られていません」
「では、現在ランス様だけが持っている技術であるということでよろしいでしょうか?」
「はい。これをギルド員に公開してもよろしいのでしょうか?」
「ランス様は公開してもよいとおっしゃっております。私はランス様の高度な技術を把握しておきたいだけです。現在の普通もわかりたいのです」
シャロンを見上げると、なんかため息をつかれた。え?なんかおかしいこといった?やり方を聞かれて答えただけなのに?なんで?
「こちらのギルド長なのですが、ぜひ、ギルド員に教えていただけないでしょうか?」
「学園に通わなければならないので、これから試験勉強もします。そのような時間はないでしょう。時間があれば、まずは昔から所属している薬師ギルドへ行かなければなりません」
「多少なりと融通をお願いします」
「今のところ時間が取れません。申し訳ございません」
もう1人の男の人を断ってからS級のギルドカードを受け取る。受付嬢がすごい猫なで声で特典等の説明を受ける。だいたいがギルド共通で割引きとか評価額のアップかな。付与師が使う魔方陣集を買った。受付で本を開くと、武器別や防具別に魔方陣がたくさん描かれていた。ふむふむと。
「こちらなどもいかがでしょうか?お手本の魔方陣を転写する前に魔方陣を記録するための紙とペンとインクです。魔法転写用に最適化されており、皆さん使われているのですよ」
「ん?魔方陣を練習するだけの紙じゃなくて?ああ、なるほど。それを使っているから深度調整が出来ないんだ。なるほどなるほど。転写練習の道具セットを出すから何かと思った」
「ランス様はどうやって転写なさるのですか?」
受付嬢は青筋を立てながら問いかけてる。急変した態度が怖い。魔力で描いた魔方陣を目の前に浮かべる。
「こうやってね」
「ギルド長はおるか?」
振り返ると防具ギルド長がいた。久しぶりに見た気がする。
「なんでおる?」
「なんか、付与師になった」
「そうか、ならよく会うことになるだろう。ついでに服を見せてみろ」
急に身ぐるみを剥がされると下着にされる。防具ギルド長は服を調べ始めて、縫い合わせの場所などを丹念に調べていた。急に脱がせなくても。
一通り見終わると返してくれる。
「直さなくてもいいが、多少背が伸びておる。手直しはしたいな。時間があるときに来るか、自分で自動合わせの付与をすればいい。そのためのギルドだろう?」
「失敗したらまた作ってくれる?」
「材料があればいくらでも作ってやる」
受付のお姉さんの前に立つ。耳が真っ赤になっている。
「作業場貸して」
「ひゃい。ぎ、ギルドカードを」
付与師と商業ギルドのカードを出す。支払いを商業ギルドにして、真っ赤な顔になってしまった受付嬢に作業場に案内して貰う。
「ランス様、服は着ないのですか?」
「え?これしか持ってない。これから作業するのに着てたら作業出来ない」
「そうですか。帰りに予備の服を買われますようにお願いします」
「だけど、これいい服にしてもらったんだ。他のじゃ、ちょっと無理かな」
シャロンも赤くなっているような?
「予備の服ぐらいは、お持ちになってください」
「わかったよ」
「こちらでございます」
案内が終わると逃げるように、お姉さんは去って行った。
「ランス様、裸を見慣れぬ者もおりますので、なるべく服は着るようにお願いいたします」
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神様に無理矢理生き返させられた 羽春 銀騎 @haneha
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