概要
私はこんなやつ絶対に認めない
ヴィオノ・オビエは止まってしまったこの時が好きだった。彼女がこの王宮図書館である【マロニエ・コマン】の司書として勤め始め、いったいどれほどの時間が経ったのか。その答えをヴィオノ自身も曖昧になってしまって久しい。そのことは彼女にとってもはや何の価値もないものだった。彼女は来訪者も最近では滅多に現れなくなってしまったこの図書館で、その億にものぼると言われる蔵書をずっと読み続けている。終わりのない喜び。ヴィオノは本当に満ち足りていた。自分の座る司書席からの眺めは全方位本で埋め尽くされていた。本の中には彼女が望むすべてがあった。彼女はラブロマンス、それも悲恋の話がお気に入りだった。本の中の主人公が絶望的状況であればあるほど彼女の胸は躍った。特に王子と町娘の恋愛を描いた【スカビュウズ】がお気に入りでそ
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