誰もが誰かを愛し、運命は紡がれる。

人間と精霊の争いの痕が残る世界で、虐げられ、孤独に生きる主人公ディル。
物語の始まりは二つあるように思えました。アルヴィードという青年がディルにとって初めての救いの手を差し伸べたこと。そしてその数年後、ロイという薬師のおっさんが危なっかしいディルを気にかけたこと。
運命が大きく動いていきます。


ディルに訪れるのは呪い、別れ、命の危機……となんとも不穏な出来事ばかり。
そんなふうにがんじがらめにされながらも、それぞれの想いが少しずつ過去を明らかにしていき、また、未来を作り上げていきます。

この過酷と言わざるを得ない運命を背負うなかで、ディルの天然っぷりが良い味を出しています。ほわんとした言動に思わず「そういうとこだぞ!」とツッコミをいれてしまうこと間違いなしです!


どこまでも翻弄してくる運命と、それを切り開こうとする主人公たち。運命や愛といった壮大なテーマが細い糸で緻密に織られているようで、素晴らしい物語でした。
おすすめです。

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