訪城と人情の物語

以前仕事で大阪に赴いた際、大阪にはお笑い芸人しか住んでいないのでは?
と思うほど、各所で交わされる会話の楽しさに耳を澄ませた記憶があります。
電車内でも普通の女子高生同士の会話が面白くて、よく聞き耳を立てていたものです。

本作は、東京から大阪に転校した女子高生と、そこで出会う魅力的な友人との日常に「お城」を混ぜたものです。

女子高生と○○○の中には、すでにお城を題材とした作品もありますが、本作はマンガ的な過剰演出もなく、実際にありそうな雰囲気の中、のんびりと進んでいきます。

個人的に、歴史って「何年に何が起こった」を知る学問だと思っていたのですが、よくよく考えると、何故、それは起きたのか?と自問すると、因果関係や前後関係をほとんど理解していない事に気付きました。

大阪城の天守閣から街並みを眺めた時、近代的な街と何百年も変わらない石垣が同時に見えたことを思い出し、お城といった史跡が、過去の因果から現在につながっていることを理解し、今度はそういった視点で眺めたいなと思うのです。

以前のように気楽に旅ができる日まで、本作によって疑似体験をさせてもらいます。