放課後城探部
てっくん
出会いと大阪城
プロローグの城
私の名前は
友達が言うには時々妄想の世界に飛び立つことがあるらしいが断じて普通の女子高生なのだ。
こんな普通の女子高生に普通でない出来事が起きたのはまだ大阪に引っ越す前の4月の出来事だ、希望の高校になんとか受かり、ウキウキで入学したのだが、たった20日で嬉しい気持ちを粉々に
父が転勤しなければならなくなった。
しかも家族を連れてとのたまうのだ。
父は大阪に本社を持つ電気製品を作る大手会社の営業課長なのだが、結構やり手のイケメンだ。
大阪に本社を持つとはいえ、やはり日本最大の都市は東京なので、営業利益の比重は明らかに東京に
大阪地区は少し売り上げが寂しいらしい、そこでやり手の父に白羽の矢が立ったのだ。
本社で実績を上げれば更なる出世も約束されているというので、父は大張り切りで、期間も決まっていない転勤を二つ返事で引き受けてきたのだという。
私の心は『せっかく苦労して勝ち得た志望校を手放してなるものか!』だ
「おかあさん、大阪に知り合い一人もいないのに大丈夫なの?」
私は母の感情に訴えて父に単身で大阪に引っ越してもらおう作戦を実行するのだ!
「そうねぇ、さようならは寂しいわねぇ。」
「そうだよ、寂しいよ」
私は少し悲しそうな仕草を作ってみせたが、根っから
「でも大阪いいじゃない、お笑いの本場だし、ご飯も美味しいらしいよ?」
と言ったその笑顔には少しも迷いはなさそうだ。
そんな母の顔を見て私は
「でもぉ!遠いじゃん!」
と語気を強めて言っては見たものの
「東京よりはちょっと狭いかもしれないけど大きな都市だから生活には困らないし、観光だって京都の町屋とか神戸の夜景とか、白浜にはパンダもいるし、姫路には世界遺産の姫路城もあるし、琵琶湖も綺麗だし。」
と言っている母はとても楽しそうで今にも歌いだしそうだった。
「さぐちゃんに話してたらお母さん明日にでも大阪に引っ越したくなってきちゃった(笑)」
私の感情に訴える作戦は逆に母の好奇心を
「そうだ聞いてよさぐちゃん。お父さん、この仕事成功したら部長に出世するかもしれないんだよ?凄くない?はぁ、お父さんさすがだなぁ、偉いわよねぇ。」
出世の見込みもあるというので、母も大喜び、見知らぬ土地への引っ越しにもあまり不安はなさそうだった。
普通のおとなしい女子高生の私は志望高校の為に一人東京に住みたいとも言えずに再び試験を受けなければならないと言う苦難も乗り越えて大阪に引っ越ししなければならなくなったのだ・・・
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