それはあなたの近くにも……日常に潜む“ちょっとした不思議”の物語。


 オカルト小説書きの主人公・「紫桃」と、そのネタ元の友人「コオロギ」のやり取りを描いた怪異譚。


 先ず、この作品の良さはより日常に近いことですね。明らかな創作となるとファンタジー色が強くなりますが、よりリアルでほんのりと残る不思議さが魅力として描かれています。
 会話形式で進む物語は怪異が面白いだけでなく紫桃とコオロギのやり取りもまた魅力……。そして、起こる怪異もまた身近な為に世界観に入りやすくなっています。

 怪異を感じない主人公の目線からの考察で進むので、視えるコオロギの行動や意見が“成る程”と感じさせるのが巧みですよ。

 そして何処か穏やかな流れが続編を期待してしまいます。ネタバレになるので書きませんが、今後の展開に期待するのはオカルトのみにあらず……楽しむ為の複数のポイントはご自身の目で確認して頂きたいですね。

 

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