概要
ここはもはや彼の家ではなく、彼らも彼の親ではない。
ナチス政権下のドイツ。少年フランツは家の中に不審な「客」の存在を感じる。親子でさえもすべてを打ち明けられない時代、彼の家はどこにあるのか──
草食アングラ森小説賞参加作品です。
草食アングラ森小説賞参加作品です。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!いろいろな思いが巡るのに、どれひとつとして言葉にならない
ナチス政権下のドイツ、党員としての訓練になかなか馴染めずにいるひ弱な少年と、彼の家を訪ねる〝客〟のお話。
シリアスな歴史ドラマです。歴史上の有名人物の物語ではないため、感覚的には『歴史区分上の近現代を舞台にした現代ドラマ』とでもいうべき作品。そのあらすじからも明らかな通り、取り扱うモチーフ(及びテーマ)がどこまでもシリアスで、非常に読み応えがあります。この重苦しい緊張感!
最大の魅力はやはり主題部分の威力、というか、「どう足掻いてもなんらかの感想を抱かずにはおれないところ」が最高でした。
登場人物の取った行動の是非、あるいはその動機や、そうさせるに至った事情、またもし自分が彼らの立場…続きを読む