13歳のヘルマン・ヘッセ

ある日 君は急にけほけほと咳き込んで

大量の紅い椿を吐いた

だいじょうぶ?だいじょうぶ?と必死に君の背をさすったけれど

君は明らかに大丈夫ではなかった


13歳のときに指先に付いた鱗粉のことを

長い間とてもとても長い間忘れていたんだ、と

君に言ってはみたけれど

すべては「ふうん」で済まされた

欲しい答えは手に入らない

けれど 問うことは止められない


わたしがもし今 なにかを吐いてしまっても

慰めはいらない

お互い 散らして撒き散らして紅く

訳なんて分からなくなっていよう

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