Spleen

夜の海はたまらないね

空と水平線の境目もわからない漆黒

寄せては返す音だけを頼りに

見えないものを見ようとしている


目隠しされたら 嗅覚ばかりが冴えて

だから夜の海はたまらないね

奥底に沈んでいるものが 

ざわついてどうしようもない

 

 買ってきたビールに

 少し口をつけたら

 残りは砂に飲まそう

 染み込んでいく速さは

 砂時計のイメージ

 落ちてしまえば また逆さまに

 

終わりがないのは

境目が見えないのは

自分に少し飽きてしまったなんて

飽きることにもいつかは飽きるなんて

夜の海はたまらなくて 

苦い泡だけが残ってしまって

本当にそこにあるのかもわからない

この海は たまらないね

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