映像作品に感じる程の流暢な表現。本格的な魔術譚をご堪能あれ。

真っ先に心を惹かれたのは、書き出しの表現でした。無駄な言葉がない、それでいて的確で鮮明な背景設定。小説の冒頭から興味をくすぐられました。
レビューを書いている時点でまだ一話しかないので、現段階の評価を書かせていただきます。つらつらと評価を書き連ねたいのは山々ですが、端的に二つほど。

一つ目は、読み手に容易に描写を想像させる、研ぎ澄まされた文章力です。カクヨム広しと言えど、ここまで書ける人は少ない。そう思うレベルでの表現力でした。
全体的に物語の繋ぎは滑らかなんですが、特筆するなら、狼が蔦に襲われるシーンは感動を覚えました。鮮明すぎて、もはや悍ましさすら感じさせるような、緻密で刻明な語り口でした。この小説の世界に潜む狂気が垣間見えた気がします。

二つ目に、「魔法」ではなく「魔術」をテーマにした本格的な魔術譚である点です。現段階では魔術に関する記述は少ないですが、魔法陣を用いたカードキーの仕組みは「なるほどなぁ」と思わず感嘆しました。これからの展開で、「魔法」ではなく「魔術」である所以を見せてくれると思っています。型月っぽさ、期待してますよ。ハードル上げました。

長くなりましたが、最後に。この作品はまだ最初しか見られませんが、これからの展開が非常に楽しみな作品です。自分も是非、追わせていただきます。