今時の異世界ファンタジーといえば、主人公が無自覚にしろ自覚しているにしろ、周囲のモブキャラを圧倒する最強の能力を持っていて、ぽんぽん敵を薙ぎ倒していく、みたいな展開が王道です。ストレスだらけの現代社会でストレスフリーで見られる痛快な物語というのは需要があって然るべきですし、それに関しては私が論ずるつもりはありませんが、一つだけ言わせていただきましょう。
この物語は「ありきたり」では決してありません。通り一辺倒の俺TUEEEとは比較にならないほどにストーリーが練り込まれていますし、その点で他作品と一線を画す、と言ってもよいと思います。
俺TUEEEもののありがちな傾向として、読んでいて飽きる、というのがあると思いますが、私がこの作品を読んでいても飽きというものを感じませんでした。これは、作者であるnekuro様が「いかに主人公を強く見せるか」というより、「いかに物語を面白くするか」に重点を置いており、それが見事に成功しているからだと個人的には感じます。
読者にも分かりやすいミステリーを混ぜ込んだり、読んでいてニマニマするようなラブコメを挟んでいたり。その塩梅が絶妙だからこそ、継続して読むのが億劫になりがちなWeb小説であるにも関わらず、私はこの作品を読み続けられたのだと思います。
……とまぁ、ぐだぐだ書いてきましたが、もうシンプルに言っちゃいましょう。
この作品、おもろいです!!みなさん読んでください!!いや読め!!!!!
タイトルを見ただけで、好きな人は即座に飛びつくであろう性癖直撃シチュエーション。
主役二人のキャラクターの魅力は勿論看板どおりですが、本編の見どころはそれだけではありません。
王道ハイ・ファンタジーらしい世界観の、奥深さや広大さをきっちり描き出す丁寧な話運び。
ご都合展開を排しつつもストーリーのテンポは良く、キャラの魅力や随所に盛り込まれたミステリー要素によって、ダレる事なくわくわくと読み進みられます。
「性悪最強魔女と弟子少年」の組み合わせに惹かれる人も、骨太な大河ファンタジーを楽しみたい人も、満足間違いなしの逸品です。