生き苦しい世界を変えた小さな一匹

コウモリが世界最速を叩き出したなんて知りませんでした。
風がやんだ世界の変容を興味深く読んでいたら、突然流れ変わったな、と。そこから先はまさしくディストピア。動物達の未来にどんどん目が離せなくなりました。

風がやんだ理由、彼らが知恵を持つ理由もきちんと物語の中で解き明かされていきます。
アントニオと仲良くなっていく過程が微笑ましい。
クライマックスまでハラハラと一気に駆け抜けることができました。


作者さんの書く作品はハズレなしなのですか?
読切『青と月夜の永遠譚』でもそうでしたが壮大な物語だけど終わりは長く尾を引きすぎず短く簡潔に、あっさりと終わらせてくれます。
でもだからこそすっきりとした読後感で、それでいて物語の続きに思いを馳せたくなる余韻が残ります。
今回の最後の一文もお見事でした。