テンプレート、それは上手に使えば武器にもなるが、下手に使うと作品を一気に陳腐にさせる諸刃の剣。
そして本作は魔王の下に集まったモンスターたちが、モノマネと称して次々とWEB小説のテンプレを披露していくのですが、その既視感が凄い。
一つ一つのネタは元ネタである「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」同様に短いのですが、そのほんの短い一文の中で「あ、このシーンこの前読んだ小説にあった!」という具合に、WEB小説のテンプレを切り取る手つきが実に鮮やかなのです。
個人的にはサキュバスによる「悪役令嬢」シリーズが白眉。
また【WEB創作界隈における新宿の扱い】や【講座系エッセイにありがちな書き出し】というモノマネのタイトルだけでは中身が想像つかないのに、実際に読んだ瞬間「なるほど」と納得してしまうあたりにも作者のセンスが感じ取れます。
こうしたテンプレの数々を参考にして応用するか、あるいは反面教師にするかは読む人次第ですが、こうしたセリフや展開が既にお約束として読者の間でもおなじみになっているということは知っていて損はないでしょう!
連載自体は2年前から始まってる人気作なのですが、今年になって完結したということで、まだ読んでない人も、以前に読んだという人も是非ご一読を。
(小説を書く参考になる作品4選/文=柿崎 憲)