この笑顔に癒されたからこその行動は理解できる。人はそれを『押し』という

 朝早くから出勤し、日付が変わる頃帰宅する、この物語の主人公を待っている者は、もはやいないのだ。家族は既に就寝中なのである。
 寂寥感に苛まれながら、自ら残り物を温めて夕飯とする姿は、その家庭に救いがあるようには思えない。
 主人公も、そう感じたから、明日は、いっそこのまま……という想いに囚われかけたのだろう。

 そんな主人公が、偶然、素敵な笑顔を、そこに見つけた。
 その笑顔に癒され、自分も笑顔になっているだろうと思い込んだ主人公が、思わず手を伸ばしたその先には……何があったのか?

 これは、笑顔の力って偉大だよね? ……という、思わず笑ってしまった、秀作ショートショート。あなたも、この笑顔の虜になってみませんか?