23 杯目 飛礫
SIDE コシロー
大方の予想通り、
「断固として抗議しましょう」
「そうだそうだ。まだ二十分以上残っています。できるだけやりましょう。配信を続け、紘目氏の態度が
紘目氏の声明は恐らく不誠実なものになるという覚悟は全員ができていたため、動じることなく満場一致で次の行動に着手できた。とは言っても、これまで通りの主張に加え、氏の声明の穴を追及することが中心で、直ちに大打撃を与えうるものではなかった。それでも、僕たちはプラカードと麺棒を再び手に取り、紘目邸の玄関扉に向かって並んだ。
石丸さんからこう呼びかけた。
「今のあなたの声明は
続いて他のメンバーも順々に主張をしたけれど、僕たちを
結局紘目氏は何の反応もよこさず、ついに分針が真上まで来てしまった。
「ようし!」
石丸さんはくるりと体を向けると、動画配信中のスマートフォンに向かってこう言った。
「全国、全世界の皆さん。只今を以て、我々うどんを愛する学生集団の前進的行動は一旦休止します。けれど我々の闘いは決して終わったのではなく、我々や、我々に賛同してくださる同朋たる皆さんが、うどんの平和のために再び行動を起こすその日まで、この配信を休止します。どうもありがとう」
石丸さんは振り返って、無言のまま全員と握手した。泣いている者もいた。
それからすぐに、僕たち十二名は紘目邸を後にした。
かくして、僕たちのうどん運動は、一旦幕を下ろした。
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