8 杯目 轟々
SIDE
オンライン意見交換会は、石丸から連絡を受けた翌日の授業終わりに設定された。石丸の手によって、ミーティング名は安直にうどん会議と命名された。
「では皆さんお揃いのようですので、開始します」
司会の石丸が切り出した。
「既に私から確認した通り、
「まず私、
手短に表明を終えると、国際信州学院大学の諏訪氏が手を挙げた。
「ありがとうございます。基本的には私も同様の考えです。ですが一点だけ。コシをうどんの命と表現されましたが、コシに重点を置かないうどんも各地に多々あるように思います。ですからコシについては触れなくとも良いように思います。あくまでマナーを創作した点について指摘する方が実態に即していると考えます」
「東讃電波高専の
そして
「私の読み取り不足であれば申し訳ないのですが、角の有無とコシとの関連付けが元の投稿には見られないので、『角の有無を以て良いうどんとそうでないうどんに区別した』点について指摘する方が、投稿に対するレスポンスとしては他の解釈を生みにくい正確な対応と言えるかもしれませんね」
思っていた以上の集中砲火を浴びてしまった。石丸の思想からすると、こういった場では敵を作りやすいだろうと想像はしていたが、開始数分でこの有様になるとは。各地の愛好家と本格的に議論するのは今回がほぼ初めてであるから、今日は彼なりに柔らかく抑えた表現にしていることは読み取れる。しかしそれでもにじみ出る癖は、早くも伝わってしまったようだ。この会議はまとまるのか……いや、まとめるよう手助けするのがこの場での自分の役割かもしれない。僕はそう感じた。
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