スケールの大きさを感じる中原歴史浪漫

タイトルの通りです。
読み応えたっぷりの古代中華歴史浪漫ホラーは圧巻です。

史書で語られる歴史の一端を叙事的に語りながらも、思わず悲鳴を上げたくなる生々しい仄暗さがじわじわと読むごとに広がります。

出世欲、権力欲に目が眩み、人の心をどこへでも放り投げられる人間の残虐さ、
強い信念は持っていても、それだけでは無力極まりない人間の弱さ、
己の無力さを知るからこそ、時勢に逆らえず我が身可愛さに身内を売る狡猾さ、
そして疑念と後悔で心身を病む脆さ。
そこに、一縷の希望を差すがごとく颯爽と現れる異能者——導士の活躍が神がかってキラリと光ります。

歴史小説としての格調を保ちつつ、どこか人懐っこさを感じさせる文章がとても読みやすく、サクサクと一気読みしてしまいました。
歴史ニガテという人でも、非常にとっつき易い作品だと思います。

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