積み上げられる胡人の屍、留まり続ける怨嗟の果て

時は五胡十六国時代。
我々のよく知る三国の時代を経て中華の様相は一変。長城を越えた胡人たちの国家が乱立し、終わることのない破壊と戦争を続ける暗黒時代。

その中で、漢人の国家を復活させんとする男が現れた。
名は冉閔。
彼は漢人主導の国家「魏」を打ち立てるも、それに留まらず胡人の虐殺を開始。数十万の屍を築く。

が、如何な高尚な理想を掲げようとも、煽りを喰らうのは常に民衆である。
これはそんな過酷な時代に巻き込まれた、漢人と胡人の悲恋の一節。それにまつわる怪異譚。

非常に短くまとまったホラー物ですが、三国志の時代の後において、かくも残虐な民族浄化が行われていたことを知ってもらうという意味でも、是非とも手に取ってもらいたい作品です。

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屍山血河の国

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