浪人である半兵衛はみすぼらしい容貌から『蛙の先生』と揶揄されつつも慕われていた。そんな男がある雨の日、突如として駆け出した。裸同然の姿で小刀を携え町を駆け巡る男は、ついに狂ったのか、否や。その経緯をたどり、そしてその異質な姿の真相に迫る。冒頭の狂気じみた姿は何ゆえか、何故雨でなければならなかったのか。きちんと理由づけされたその構成が良質な時代小説です。