忘れがちな日常にある、ささやかな幸せ。

 主人公の学校で感染者が出て、学校が休みになった。暇になった主人公は遺書を書いてみようと思い立つ。しかし、何も書けない。悩んでいると、社会人でリーモートワーク中の姉が、うるさいと言ってきた。主人公は遺書を書こうとして書けないのだと、正直に言う。すると姉は、今日死ぬってことにして、書いてみれば? とアドバイスをくれた。
 三時の休憩に姉弟仲良くアイスカフェオレを飲みながら、主人公は遺書を完成させる。しかしその書き方は箇条書きで、しかも、内容もどうしようもないものだった。ただ、遺書の最後の一文は、思いもよらないもので……。

 日常を描きつつ、遺書という非日常を引っ張り出し、ラストは心にしみる。
 とても素晴らしい発想力と表現力だと、感服しました。

 是非、御一読下さい。

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