鏡の境遇

　藤宮和雄は高校でのいじめと父である藤宮晃からの虐待に苦しんでいた。そんな藤宮和雄の唯一の心の支えは中山祐介が書いた「困窮」だった。
　一方、いじめの主犯格で、藤宮和雄と幼馴染である中山伸久は「困窮」で一躍有名になった有名作家の中山祐介を父に持つ恵まれた子供だった。
　そんな正反対の人生を送っている二人。しかし、藤宮和雄と中山伸久は新生児の時にそれぞれ取り違えられていた。
　憧れの中山祐介の子供になれる事に喜びを隠せない藤宮和雄、取り違えを認めようとしない中山伸久。しかし、中山伸久の思いとは裏腹に取り違えの手続きは進んでいった……