派生した意味が氾濫し、怪物を生む。
- ★★★ Excellent!!!
オカルトの知識が豊富な彼女と、そんな彼女に付き合うことになった主人公の物語。主人公と彼女は大学生。彼女はいつも着物を着てくる。
心霊スポットや神代文字、博物館やAVライブラリーで、主人公は彼女から様々な話を聞く。そのほとんどが初めて聞くような代物で、主人公にとっては眉唾物だ。しかし、彼女の方は圧倒的な知識と考察により、いつも主人公をやり込める。
そんな彼女が最も興味を持っているというのが、カムタナ文字という神代文字だ。主人公と彼女が通う大学に、その神代文字を研究しているサークルがあるらしい。その怪しげなサークルに、彼女は興味を持っている。
彼女曰く、「人は事実を信じるのではなく、自分が信じたいものを信じる」のだという。
さて、彼女の家に婿候補として招かれた主人公は、彼女の妹が全くオカルトに興味がないことや、古代文学に詳しい彼女の母親に出会う。そのマンションはパイナップル型をしている。そこでも彼女は言うのだ。もしも世界が荒廃して、この建物だけが残ったら、この建物をどう思うのか? 古代の遺跡か、それとも宇宙との交信施設か? そう。我々の生活だっていつかは古代の遺跡のようになる。そうであるならば、未来の人々は現代をどのように見るのか? よく見かける占い。ラッキーアイテム。寺社仏閣の数々。そして数々の儀礼的行為。現代も、オカルトの世界なのだ。
ライトな文章運びだが、知らないことが沢山あり、彼女の言動に転がされ、
とても楽しく拝読出来ました。
是非、御一読下さい。