第3話 自分の歌を精いっぱい歌う
昼頃、近くの海岸にて感情が湧き出るまま絵を描き続ける。のどが乾くと沼津限定の”ぬまっちゃ”というお茶を飲む。絵を描くと胸がわくわくする。お茶もおいしい。思わずうれしくなってしまい近くで羽根を休めていた若いカモメに思わず話しかけてしまう。
「なあカモメ! 沼津って最高だね」
カモメは「こいつなんなんだ」という目を僕にする。ぷぅーお、っと鳴き声を出すと前を向く。カモメってこんな鳴き声だっけ。違うよね。思わずカモメを凝視する。とぼけた顔をしていた。どうやら違うカモメだったらしい。そして大きな羽根を広げ飛び立っていった。
その時、頭の中で骨カモメの声がした。
「芸術を作ってみんさい」
もう一回、
「芸術を作ってみんさい」
心の中でその声に答える。
「うん。描くよ。下手でもたとえ笑われたとしても自分の歌を精一杯唄い飛んでいけばいいんだよね」
若いカモメは遙か彼方を飛んでいた。僕は若いカモメに精一杯手を振った。
後日談
家に帰ってからも絵を描き続けた。絵だけではない。小説もそうだ。それからは絵や小説を笑われたら一緒になって笑い、そして下手な絵や小説を描くのを恥ずかしいと思うことなくどこ吹く風で自分の歌を精一杯絵や小説に込めるようになったとさ。
了
沼津幻海録~ぬまづげんかいろく~ 澄ノ字 蒼 @kotatumikan9853
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