魔法を愛する忌み子の少女は君のために旅に出る

忌み子と呼ばれる赤髪の少女リルは、剣士フレッドとともに旅に出る。
その名前の通り忌み子が忌避される世界にあって、リルはどこか達観したところがあり彼女から悲壮感は感じない。大人でも怖気付いてしまうような魔物を目の前にしても冷静に対処し、時にフレッドと協力して撃退だってする。歳のわりに落ち着いたリルではあるが、魔法のこととなると年相応にはしゃぎ可愛らしい一面を見せる。はしゃぎ過ぎて周りが見えなくなるきらいはあるが……。

そんなリルの目線で淡々と語られる旅の目的は不明だ。しかし、目的が不明でも行く先々で出会う人々との交流によって、お互いにほんの少しずつ成長し、関係を深めていくリルとフレッドを見ているのはとても心地がいい。

魔法の設定やキャラクターの特徴が立っていて、グイグイと物語の世界に引き込まれていく。
そして、やがて明かされるリルの背負った運命と旅の目的を知った時、「なるほどなぁ。だからこの子はこうなんだ」と妙に納得した。

忌み子という被差別的な生まれであるリルの目を通して見る世界は、どのように映るのか。是非ともその目で確かめてもらいたい作品。

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