重い想い

 M氏は恋人の死後より四十九日が過ぎてから、毎年チョコレートを観測するようになる。
 チョコを認識しているのが誰と誰なのかといったはっきりとした描写はないのでなんとなくでしか言えないが、家族も「チョコレートなどあったか」ではなく「ちゃぶ台には置いていない」と答えるあたり、見えていそうな気がする。
 多人数に見える前提で話を進めると、チョコレートは死んだ恋人からのメッセージの役割を持つ(M氏だけの感想なら期待や妄言となる)。つまり不可思議なチョコレートはこの話の中で単に切なさとして語れるものではなくなり、一種の束縛として機能する。そういうホラーか。
(註:評者は心がくすんでいます)