モロッコの薔薇

19世紀の地中海南岸（エジプト、アルジェリア、モロッコ）を舞台にした架空の物語。
幼さ残る褐色の肌の踊り子は、顔を隠したミステリアスな雑貨屋の店主に淡い想いを抱いていた。だが、男は彼女に残酷な未来を告げる。それを神が望みたまうならば。
薔薇が香る。子宮の奥からわき上がる恍惚と、官能と、突かれるような胸の痛みと共に。

「覆面作家企画」（2006年）に参加したものに加筆・推敲したものです。

ルビ以外はまったく当時のままなので改行の入れ方が今風（こまめにいれる等）ではありません。スマホで見るとかなり、みっちり詰まって見えます。

あとで聞いた話。元々エジプト産だった薔薇がヨーロッパにいって、ヨーロッパから逆輸入という形でモロッコに薔薇が入ってきた、と。モロッコとエジプトとヨーロッパがうまいこと…続きを読む