黄金の舟歌

下村さんの世界観、表現が頭の中を駆け巡りました。
下村さんらしいというか……
自分には無い感覚というか……

楽しませて頂きました。
前作、近い未来あるかもしれない感から、今作の未来感な感じ……
次回作、気になります。

短編にも拘らず状況が目まぐるしく変化していき、
そして静かに終結していく。
筆者様の素晴らしい技量に圧倒されました。

SFはあまり読まないのですが、
他の方が仰る通り読みやすかったです。

人造人間の名はメトセラという名前ですが、
旧約聖書のノアの箱舟の話に登場するノアの祖父の名前でもあるんですよね。
そのことを踏まえてこの小説を読み返すと感慨深いものがあります。
（筆者様がそのことを意図されたかは分かりませんけれども）

まず最初に読みやすかったです。
一般的なSF小説は独特な、少々堅苦しい表現が多く、情景が分からなくなることがあります。
ですが、この小説では終始読者に分かりやすく、しかし雰囲気を壊さない絶妙な表現力なのがとても好感が持てました。なのでSF小説を読むのは初めてという方にもお勧めです。

ネタバレは避けますが、人間とはいつどのような状況下にあれど、良い意味でも悪い意味でも人間なんだなと思わされました。それは眠りについた人類だけでなく、メトセラの行動、思考からも私はそう感じ取りました。
ラストには心底驚かされました。賛否両論かもしれませんが、私は拍手を送りたいほどの良い締め括りでした。

全編読ん…続きを読む