妃家の首飾り 〜真実は眠らない〜 (The pendants of Queen’s family)

作者 森山美央

新感覚! シナリオ形式で書かれたミステリ風のファンタジー

  • ★★★ Excellent!!!

物語は主人公のミレーネ姫が14歳の誕生日を迎えた日にはじまります。華やかな祝賀会のさなか、母親である王妃とともに毒を盛られ、盲目になってしまう彼女。従兄妹のジュリアスとポリーとともに事件の真相を追ううちに隠された事実が明らかになっていき……

本作はシナリオ小説という、カクヨムでは珍しい手法で書かれています。読みにくいのでは? という心配はご無用。エンタメ性を重視して書かれ、読み進めるうちにシナリオであることを忘れて没入できます。私にはシナリオの知識はないのですが、シナリオを読むという娯楽の素晴らしさを教えてくれました。

お話は自然豊かな「緑の国」、日照が少ない「白の国」という2つの国で展開します。お伽噺に登場しそうな舞台設定ですが、背後には陰謀が渦巻いていて。

宝石をめぐる謎、策略が交錯する宮廷、練り込まれた伏線。どの登場人物にもストーリーがあり、それぞれの事情が複雑にからまって怒濤のクライマックスへとつながるシーズン1の終盤はスリルの連続でした。

物語はシーズン2が開幕したところ。途中のシーズンからでも読めるとのことですが、最初のプレシーズンから読んだほうが断然楽しめるはず。発端となる毒薬事件の他いくつものサブストーリーが同時に進行するのに、混乱することなく自然に内容が頭に入ってくるのが凄いです。

とにかく読んでみてほしい一作です。確かな技術に裏打ちされた筆致に酔いしれて下さい。

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