久しぶりに一気読みした作品。

 自分がこの主人公と同じ立場になったら、と考えなくはないけど、多分こうはなれないだろうなあ、と思いつつ。

 自分の中にある青春の残滓を主人公である新浜に燃やしてもらっている、というのが妥当だろうか。

 文化祭どうだったかなーとか、部活やってたわーとか、海水浴ではそりゃこんな美少女に囲まれたら銀次のようなリアクションするよなあとか。

 新浜とヒロインである紫条院の絡みはひたすらだだ甘で、紫条院の笑顔を守るための新浜はただただ行動力の塊で、熱量が大きい。
 そんな新浜を見ていて「お前のような高校生がいるか」と言いたくなる場面もある。
 けれどもその熱量が高校生の肉体に宿った時、それが取り戻した青春の輝きになるのだ。そして、本人含めその熱量に振り回されるドタバタ劇が面白い。その先に待つ紫条院とのエピローグもまた甘く、飲んでいるブラックコーヒーが、某MAXなコーヒー並に甘くなること請け合い。

 もしかしたら、二人の進路は別れてしまうかもしれないけれど、それもきっと青春で、別れたとしても本当の最悪を多分避けられている未来がきっと二人を待っている。
 そう願って続きを読み進めていきたい。

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