最後まで読んで「本当は怖い話だった」とガタガタしましたが、物語の大半を占める「すべらない話」パートではテンポが独特で、読んでいて不思議な気分になります。
ギャグ小説の肝はテンポ・間合いだと思いますが、主人公であるソロリちゃんがまずそれを崩していて、それがいい具合に場を和らげ、笑いを呼び起こします。
そして、戦国知識があれば「こ、ここまで調べてあることを湯水の如く贅沢にざばざば、背景程度に書き流してる……」とビビりチラします。
めっちゃ怖い。かなたろーさん、ほんま怖い。
幕間が本当にガタガタする……。
登場人物もテレビでよく見る人物に当てはめて描写されているので、文を読んでいるだけでもうばっちり音声付きの映像で脳内で再生されていきます。
一話読み終えたらまた一話、と思わず読んでしまう不思議な魅力が詰まったお話でした。
この不思議さ、是非体験してみてください。
はんなりした関西弁の、的外れというか、すれ違ったり、いつの間にか空中に立ち消えてしまたりするようなやり取りをいくらも読み進まないうちに、時間の歩み方が突然遅くなって行くのをはっきり感じました。ナンセンス極まりないおバカなのですが、押し付けがましさや、騒がしさがなく、お気が向きましたらお立ち寄り下さいというような雰囲気に癒されます。何かに赦されていく自分を感じました。途中、音楽や絵のURLの挿入されているのも楽しく、書法も小憎らしくて、何より天然で良い子のソロリちゃんが可愛くて気に入りました。戦国史愛好家や落語好きにもお勧めしたい、おとぼけ味の脱力系おバカ超大作です。