本格サスペンスとBLが絡み合った傑作

現代日本を舞台に、刺青にまつわる殺人事件を追う新米刑事の久我が、現場付近で花屋を営む青年、撫川(なつかわ)と出会うところから物語は進んでいきます。

連続殺人事件の本格的な捜査と並行して、ややフワフワと不思議な雰囲気を醸し出す撫川と交流していく久我。シリアスで現実的なサスペンスの中に、どこか幻想的な雰囲気が時折フッと挿し込まれるのが本作の魅力。対照的な色合いがどちらをも際立たせながら、事件は少しずつ少しずつほぐされていきます。

また、久我と撫川の視点を基本としつつ、警察やヤクザなど渋ーいおっさんの面々がとてもいい味を出して脇を固めてくれています。笑いあり、人情ありで、緊迫の場面の中、ちょっと息抜きが出来るのもいいバランスになっています。

後半、クライマックスにかけては手に汗握る展開も待っていて、私は思わず一人で叫びました。映画を観ているようで本当にドキドキしました。

警察モノ、事件モノが好きで、しかもBLが好きなんていう方には勧めるしかない傑作です。

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