探偵を憎む不本意な名探偵と最悪のVTuber?デビューを飾った少女
- ★★★ Excellent!!!
真実を明らかにするのではなく、自分の満足や名声のために人を陥れる作中の探偵を称する奴らに家族をめちゃくちゃにされた主人公・氷河。
探偵行為を毛嫌いする彼ですが、少女探偵・美伊子と事件に巻き込まれれば補い合うように真実を明らかにする推理を展開してしまう。
第一章でそんな二人の推理が作中の「典型的な腐れ探偵」の推理(と称した捏造、偽証)を打ち破り、見事解決。
このお互いを思い合う高校生探偵コンビがこれからも悪質探偵と推理バトルを繰り広げていく物語……と思いきや、美伊子は突如その命を奪われ、氷河の端末にVTuberのような姿でのみ存在するAIとなってしまう。
二人がVTuber同好会であるという要素がこんな形で活用されるとは……!これでは最悪のVTuberデビューである。
氷河は最愛の少女をも奪った「探偵」全てに復讐する、「推理で負かして信用を奪う」ことで抹殺しようと誓う。
ミステリーものでありながら、不本意ながら推理する名探偵が対峙するのは「探偵」であるというストーリーの軸が斬新で驚かされました。
彼の推理を武器にした復讐劇がどうなっていくのか、AIとなった美伊子とどう関わるのか、そもそも彼女を殺害したのは本当に探偵なのか?
探偵の仕業だとすれば殺害するだけでなくわざわざAIにしたのは何故なのか?
復讐を望む氷河が向き合う事件の「謎」と物語全体を貫く「謎」。
これから、不本意な名探偵による二つの謎のQEDを心待ちにしたい。