Epilogue (エピローグ)
One day
=Now Loading=
「さーとーうー! おーきーてー!!」
朝……?
窓からはまぶしい朝日が降り込み、シャロールの大声が聞こえるいつもの朝だ。
「朝ごはん冷めちゃうよ〜!」
「う〜ん、もうちょっと……」
「お仕事遅刻するよー!」
それは……まずいな。
僕はなんとか布団を振り払い、目覚める。
――――――――――――――――――――
「おはよ」
「おはよ!」
僕が着替えて寝室を出ると、シャロールはテーブルについて僕を待ってくれていた。
「早く食べよっ!」
いつものように二人で向かい合って座る。
「いただきます」
「いただきますー!」
今日も仲良く朝ごはんを食べる。
「昨日も残業だったの?」
「フワァ〜、ここのところ忙しくてね」
あくびが出てくる。
「そっか、お疲れ様」
シャロールの何気ない言葉が身にしみる。
「もうこの仕事辞めちゃおうかな……」
冗談で言ってみる。
すると、シャロールは案外まじめに受け取ったみたいで、興奮した様子で言い返す。
「そんなことしちゃダメ!」
「佐藤がお金稼いでくれなかったら……」
シャロールは涙目になっている。
軽い気持ちで言った冗談で彼女を傷つけてしまった。
「ごめん、冗談のつもりだったんだ」
「え?」
「辞めるわけないだろ」
僕は安心させるためにニッコリ笑いながらそう言ったが……。
シャロールの手が震えている。
「佐藤の……」
あ、来るぞ。
シャロールがお怒りのときの……。
「バカー!!!」
顔を真っ赤にして力いっぱい叫ぶシャロール。
「なあ、もうすぐ産まれるんだろ?」
怒りをごまかすため……というか単純に気になったので訊いてみる。
「う〜ん、よくわかんない」
シャロールは大きくなった自分のお腹をさすっている。
「辛かったら、メイドでも雇うか?」
「そんなことしたら、佐藤はその人に浮気するでしょ?」
「バッカ! お前!」
そんなことない……と思う。
「ていうか、お母さん呼べばいいのか」
「でも、お母さん最近忙しいらしいよ」
「じゃあ、どうす……」
「あ! 佐藤、時間!」
「へ?」
時計を見ると、遅刻をする寸前だった。
「はい! お弁当!」
「行ってらっしゃいー!」
「行ってきますー!」
――――――――――――――――――――
「ただいま〜」
静かにドアを開ける。
もう真夜中だ。
シャロールは寝ちゃってるだろうな。
今日も残業になるとは……。
とっとと晩ごはん食べて、寝るか。
「おかえり、佐藤」
なんと寝ているはずのシャロールが目の前にいる。
そして、僕に近づいてくる。
「シャロー……」
「佐藤は偉いね〜」
突然シャロールが背伸びをして、僕の頭をなでた。
「頑張ってる佐藤にご褒美だよ♥」
シャロールは柔らかい笑顔でそう言った。
心が暖かくなる。
こんなの……久しぶりだ。
「……ありがとう」
疲れていた心が満たされる。
のどが乾いているときに、水を飲んだみたいだ。
「佐藤は私のこと……好き?」
「大好きだよ」
結婚する前みたいにドキドキしながら、僕の思いを伝える。
「私も……大好き」
「そうか」
僕はゆっくりとシャロールの頭に手を置く。
今度は僕が彼女の頭をなでる。
ネコミミがなんとも気持ちいい。
「痛い!」
シャロールが突如として叫んだ。
「え、あ、ごめん!」
加減を忘れてしまっていた。
手を離す。
「違う! お腹……!」
シャロールは苦しそうにお腹を押さえている。
お腹?
もしかして……。
「シャロール、とりあえず横になろう」
肩を貸して、ベッドまで連れて行ってあげる。
「お母さん!」
「わかった、呼んでくる!」
僕は家を出て、宵闇の中キャイアさんの家に駆けて行く。
――――――――――――――――――――
「名前……なんにする?」
「そうだな〜」
「この子の名前は……」
異世界転移していない!? ここは-システムエラー-界らしいです~ちょっとおかしなゲームを攻略しなきゃいけなくなりました~ 砂漠の使徒 @461kuma
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